志賀原発の臨界事故:1号機の隠ぺい発覚から1年 2号機運転再開へ布石 /石川
◇外部委の報告受け「北電の改革定着」
◇“活断層過小評価”批判の再燃も
http://mainichi.jp/area/ishikawa/news/20080307ddlk17040123000c.html
北陸電力(本店・富山市)志賀原発1号機の臨界事故隠ぺい発覚から15日で1年を迎える。この間、新潟県中越沖地震での東京電力・柏崎刈羽原発のトラブルなど原発行政や電力会社への風当たりが強まったこともあり、運転停止中の志賀原発の再開について慎重な姿勢を貫いてきた北陸電。しかし、今月に入り再稼働への布石と受け止められる動きが慌ただしくなってきた。地元の石川県、同県志賀町への再稼働申し入れを前に、2号機の運転再開に向けたこれまでの経緯と今後の展望をまとめた。【八田浩輔】
■再稼働へ埋まる外堀
北陸電は今月4日、タービン損傷などの問題を受けて06年7月から運転停止していた2号機で実施中の定期検査で、停止時に実施すべき検査を終えたことを明らかにし、再稼働前の設備面の準備がほぼ整ったことを強調した。前日には、臨界事故隠しの再発防止対策を検証する外部委員会が、隠ぺい体質と批判された北陸電の企業風土改革が定着したとする報告書を公表したばかりだった。
委員会の報告を受けた当日、北陸電の永原功社長の表情は晴れやかだった。報道陣に囲まれ、「(運転)再開への大きな一歩」と踏み込んで発言。申し入れ時期については従来通り明言を避けたが、慎重に言葉を選びながらも早期再開への意欲が色濃くにじんでいた。
志賀原発の停止による経営的な打撃は大きい。年間を通して1、2号機が停止した07年度は、関西電力などへの販売電力量が大幅に減少。燃料費が高い火力発電で供給電力を補ったことで、08年3月期連結決算の業績見通しでは、経常利益が07年3月期に比べて約82%減の約60億円に落ち込んでいる。2号機は同社にとって電力供給の要。永原社長は同日、電力需給がひっ迫する今年の夏までには供給を開始したいとする本音をちらつかせた。
■鍵は地元の理解
原子炉の再稼働には地元自治体の合意が必要になる。石川県の谷本正憲知事は北陸電の姿勢を「信頼回復のため真摯な取り組みをしている」と好意的に評価、志賀町の細川義雄町長は「申し入れがあれば、議会と協議しながら対応したい」とする。両首長が共に再稼働の条件に掲げるのは「地元住民の理解」。しかし、正式な申し入れさえあれば、手続きを踏んで再稼働が認められることはほぼ既定路線だ。
北陸電は隠ぺい発覚以来、地元との対話を重視し、昨年4月から志賀町や隣接3市町の区長、婦人会などを対象に200回近い説明会を開催してきた。また、今週から約1週間をかけて周辺自治体の議会や漁業関係者など約1000人を対象に、再発防止対策が定着したことを説明に回る。本社から地元に原子力部門を移し、平身低頭の姿勢で安全性をアピールする取り組みを前向きに受け止める地元住民は少なくない。
一方、反対派住民も精力的に活動している。石川県平和運動センター(金沢市)は4日、外部委員会の報告が「当初から運転再開ありき」だとして抗議声明を発表。また、同センターなどが母体となって再稼働反対の署名運動を展開、全国から約51万8000人分が集まった。先月23日には反対派住民約500人が富山市の本店を取り囲む反対運動を行った。
また、2号機を巡っては、名古屋高裁金沢支部で運転差し止め訴訟が係争中だが、北陸電は訴訟と運転再開は切り離して考えていることを明らかにしている。
■耐震評価問題
国による06年9月の耐震指針改定で、各電力会社は既存原発すべてについて、新指針に基づく耐震安全性評価を求められている。北陸電は今月中に2号機の評価の中間報告を予定しており、報告をもとに申し入れへと向かうとみられる。
昨年3月の能登半島地震では、志賀原発の一部の機器で地震の揺れの強さが設計時に想定した最大値を上回った。また、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)は、能登半島地震の震源域で、志賀原発の設置許可申請時に北陸電が連動して動くことはないと判断した三つの海底断層が、実際は約18キロに連なり同時に動く可能性のある活断層であることを突き止めている。活断層は長いほど発生する地震の規模は大きくなる。これらを含む新たな調査結果が中間報告に反映された場合、北陸電の活断層に対する過小評価への批判が再燃する可能性もある。
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例年3月末に公表する新年度の電力供給計画に原発を盛り込むかどうかが運転再開の公式的な意思表示となりそうだ。
毎日新聞 2008年3月7日
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