柏崎刈羽原発、運転再開へ 黒字・安定供給、東電めど
東京電力は、2007年7月の新潟県中越沖地震後、全7基が停止していた柏崎刈羽原子力発電所(新潟県柏崎市、刈羽村)の運転を再開できる見通しになったことで、今夏の電力の安定供給にめどがつくとともに、業績業績回復にも弾みがつくことになりそうだ。09年3月期決算が2年連続の最終赤字となり、その主因が同原発の停止だっただけに、「未定」としていた10年3月期業績が黒字に転換する可能性も出てきた。
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200905080112a.nwc
同原発の運転再開をめぐっては、新潟県の泉田裕彦知事が7日、7号機の運転再開に同意する考えを県議会全員協議会で表明。早ければ週内にも実質的な運転再開となる起動試験が始まる見込み。
順調に行けば6月下旬にも営業運転に入り、東電の経営だけでなく、日本全体の温室効果ガスの排出削減にも大きく貢献することになる。
泉田知事は8日、東電の清水正孝社長に正式に意向を伝える。柏崎市と刈羽村はすでに容認しており、東電は週内にも7号機の起動試験を始める。
1年10カ月もの長期間の停止時期があったことから、起動試験は通常より長い40~50日かけて実施。4段階で出力を100%まで上げる。配管の漏洩(ろうえい)などの異常がなければ6月下旬にも営業運転に移行する予定。
◆年間600億円の改善
東京電力柏崎刈羽原発。手前が7号機=2007年7月
こうした運転再開への動きをうけて、東電は同日「引き続き安全を最優先に取り組んでいきたい」とするコメントを発表した。7号機の再開が順調にいけば、7号機と同型期の6号機についても早期の再開を目指したい考えだ。
東電は09年3月期決算で、2年連続となる845億円の最終赤字となった。この原因は原油高騰による燃料費増加などよりも、同年度だけで6490億円の負担増となった柏崎刈羽原発停止の影響が大きい。
運転が再開すれば7号機だけでも年間600億円の収支改善効果が期待できる。この結果、10年3月期業績の最終損益の黒字転換も見込まれる状況だ。
また、柏崎刈羽原発のすべてが停止したことで6420万キロワットにまで下がった東電の電力供給力も、6555万6000キロワットにまで増加する。今夏の最大電力(6100万キロワットの見込み)への対応余力も生まれることになる。
◆温暖化対策に効果
一方、日本全体では温室効果ガス削減への効果も大きい。7号機は、日本最大級の出力135万6000キロワットを誇り、7号機が再開するだけでも年間500万トンと、日本全体の排出量の0.36%に相当する削減効果がある。
それだけに、経済産業省の望月晴文事務次官は同日の会見で、「地球温暖化とか、エネルギー政策の観点から極めて重要。営業運転までのプロセスが万全の体制で行われることを期待する」と述べた。
そのうえで、東電が今年2月に7号機の運転再開を地元自治体に求めて以降、火災が相次ぐなどして新潟県の同意時期が遅れたことを踏まえ、「いかにも時間がかかりすぎた」とも指摘した。業績に直結する「安全」をどう強固に確立できるかが問われる。(飯塚隆志)
スポンサードリンク