会社の履歴書【3】東芝
バブル崩壊後、日本企業は好むと好まざるとにかかわらず、大きな「変革」を余儀なくされた。金融部門の痛みは、日本企業の成長を支えた間接金融の縮小、株式の持ち合いの解消を迫り、急速に進展したグローバル化は終身雇用、年功序列の終焉をもたらした。その中で問われたのは企業の変革能力である。劇的に変化する外部環境にどう対応し、組織をどう変えていくのか。それに成功した企業もあれば、依然として対応し切れない企業もある。企業が「失われた15年」をどう生きたのか。1991年以降、「日経ビジネス」で取り上げた日本の代表的な企業の記事を「会社の履歴書」として取り上げる。
(文中の肩書き、名称などは掲載当時のままです)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090624/198416/
東芝
日立製作所と並ぶ日本の総合電機の雄、東芝。同社のここ20年は、事業の「選択と集中」に注力した歴史だった。その最終章を飾ったのが2006年に発表された原子力発電大手の米ウェスティングハウスの買収。54億ドルの巨費を投じたこの買収は東芝にとって、次の20年で収益を確保する戦略的投資。CO2削減が世界的に喫緊の課題となる中で、原子力発電需要が大幅に高まるとにらんでのものだった。ただし2009年3月期には、半導体事業の大幅赤字で、自己資本比率が8%台まで低下、5000億円規模の増資に追い込まれた。新たな「選択と集中」戦略が注目される。
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2006年6月19日号より
1兆円を超える半導体への投資計画、三菱重工業との一騎打ちに約6000億円をつぎ込んだ米ウエスチングハウスの買収劇。
無謀にも見える西田厚聰・東芝社長の成長戦略に果たして勝算はあるのか。
大胆に即決していくという外部からの印象とは裏腹に、実は様々な情報を分析し、綿密にリスクを評価したうえで決断、実行する細心さも併せ持っている。
グローバルで寡占化が進む中、リスクを取らないことが最大のリスクになると、攻めの経営に舵を切った東芝。3年間で3兆円に及ぶ投資計画の成算を探った。
(西頭 恒明、上原 太郎、大豆生田 崇志、山崎 良兵)
ウエスチングハウス 買収の勝算
東芝による米ウエスチングハウス(WH)の買収劇は、約54億ドル(約6000億円)という買収額に関係者の誰もが驚いた。「当初は多くて4000億円程度と見ていた」と東芝の電力システム社社長の佐々木則夫常務も周囲の見方を否定しない。
それでも買収に踏み切ったのには2つの理由がある。1つは海外市場への足がかりとすることだ。
WHは1950年代から世界の原子力発電所建設をリードしてきた。米国以外にも各国に34の販売拠点を持ち、ブランド力は申し分ない。
原発の建設計画に絡みがちな政治力という面からも、米国企業のWHなら東芝が単独で交渉するよりスムーズに話が進みやすいとの計算がある。
もう1つは、東芝が手がけていないPWR(加圧水型軽水炉)をラインアップに加えられるという利点だ。
原子炉には現在、WHなどが持つPWRと、東芝やGEのBWR(沸騰水型軽水炉)の2タイプがある。国内でこそBWR型原発がやや多いものの、現在、世界市場でのPWRのシェアは約7割に達する。数で勝るPWRの優位性は今後も続くとの見方が強い。
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