再出発 柏崎刈羽原発】(中)安全確保へ不断の耐震化
東京ドーム90個分、約420万平方メートルの広大な敷地を持つ東京電力柏崎刈羽原子力発電所。近く営業運転に入る7号機を眼下に見下ろす中心部の高台に立つと、7号機の先にある5号機近くの山すそに土砂がうずたかく積み上げられている様子がみえる。
http://sankei.jp.msn.com/life/environment/090724/env0907240808000-n1.htm
そこでは高さ150メートルの排気筒の耐震強度を高めるため、5号機や3号機の排気筒の土台の土を30~40メートル掘り返し、土台をコンクリートで固める耐震補強工事が進められている。
平成19年7月に起きた新潟県中越沖地震の揺れは、柏崎刈羽原発における想定を最大で3・6倍も上回った。東電は地震後にまとめた報告書で「それまでの知見に反して地盤の中で揺れが増幅され、中越沖地震のマグニチュード(規模)に対し、原発を襲った揺れが想定の1・5倍に達した」と分析している。
それでも原子炉そのものや原子炉建屋に目立った被害が出なかったのは、各施設が想定よりもはるかに強い揺れに耐える設計だったからだ。地震後に現地調査した国際原子力機関(IAEA)も原発の耐震設計を高く評価した。しかし、地震の揺れが想定を超えた事実は、東電だけでなく、国や地元に衝撃を与えた。
周辺地盤を再評価
政府は平成18年、阪神大震災などを踏まえて耐震設計審査指針を改訂した。新指針では、考慮すべき活断層の活動時期の範囲を「5万年前以降」から「12万~13万年前以降」に拡大するなど、電力各社に周辺の地盤などを再評価するように求めた。
中越沖地震はこの指針に追加を迫り、政府は原発が立地する地盤深部で揺れが増大する可能性も考慮するよう要請。この結果、柏崎刈羽原発は、想定する最大の揺れが地震前の274ガル(ガルは加速度の単位)から845ガルに高まった。
さらに東電は安全性向上のため、柏崎刈羽原発の7基すべてが1000ガルの揺れにまで耐えられるようにするため、1基あたり約150億円をかけた補強工事の実施を決定。さまざまな配管の補強個所は、原発1基につき約3000カ所に上った。
東海地震を想定
この「1000ガルに耐える設計」を実現するために廃止が決まった原子炉がある。静岡県御前崎近くにある中部電力浜岡原発。御前崎の東側には、フィリピン海プレートがユーラシアプレートに潜り込む駿河トラフがあり、東海地震の震源になるとみられている。
中部電力は17年1月、東海地震の想定の揺れに耐えられる日本初の1000ガルの耐震補強工事を決定。比較的新しい3~5号機は数十億から100億円程度の工事費で済んだが、1、2号機は原子炉建屋を持ち上げて免震構造とする必要があり、多額の費用が生じると判断し、昨年12月に同社は1、2号機の廃炉と6号機の新設を決めた。
耐震化は地震が多発する日本における原発の宿命ともいえる。新潟県の泉田裕彦知事は「日々進歩する知見と科学技術に合わせ、常に改善を継続していくことが必要だ」と指摘する。原発の安全性を確保するためには不断の努力が欠かせない。
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