韓国原発に高まる関心 施設をルポ
韓国の企業連合が昨年末、アラブ首長国連邦(UAE)の原子力発電所建設の受注競争で、日本勢などを抑えて事業者に選ばれたことから、韓国の原発への関心が高まっている。現在、韓国内では4カ所の原発で20基が運転中だ。うち霊光を除く古里、月城、蔚珍の3カ所の原発と現在、建設中の放射線廃棄物を保管する「月城原子力環境管理センター」の現場をルポした。(ソウル 水沼啓子)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/100214/mcb1002141201000-n1.htm
韓国の原発は国家保安施設として厳重に管理されている。そのため内部の写真撮影は一切禁止されている。外部の写真も原則不可だ。北朝鮮と軍事的に対峙(たいじ)している韓国にとって、原発を攻撃されることは大きな打撃につながるため、かなり神経をとがらせている。
実際、数年前には、韓国に潜伏していた北朝鮮工作員が、韓国の原発を写真撮影するなどスパイ活動をしていたことが判明している。この工作員は逮捕された際、「有事の際、韓国の原発を破壊すれば混乱状態に追い込めるため、写真を撮影してくるよう命じられた」などと供述している。
6基が運転中の蔚珍の原発は、5号機の施設内部の一部が見学コースになっていた。入り口で厳重なチェックが行われた。施設内もいくつものドアで仕切られており、すべてのドアにチェックシステムが作動していた。内部は迷路のように入り組んでおり、迷い込んだら簡単に脱出するのは難しそうだ。
見学コースでは、安全運転を支える中央制御室と使用済みのウラン核燃料を保管する水槽を見ることができる。中央制御室では6人が1チームとなり、8時間交代制で勤務。トイレ以外に制御室を離れてはいけないため食事も制御室で取るなど、ストレスがたまる勤務だという。
5号機の運転は2004年7月に始まり、5年余りの間に使われた燃料棒248束が保管されていた。5号機は700束までの保管が可能で、2015年にいっぱいになる予定という。
周囲にはIAEA(国際原子力機関)の監視用カメラも設置されていた。ちなみに北朝鮮の寧辺の核施設にもこうしたIAEAの監視カメラが設置されていたが、昨年4月のミサイル騒動の際、国連安保理に反発して撤去したとされる。
蔚珍のほか古里や月城などいずれの原発にも広報館が付設され、一般市民への原発のピーアールにも力を入れている。ウラン核燃料も展示されており、燃料一つ一つは指で摘めるほど小さいが、燃料1つを使って一般家庭で8カ月ほど使用できる2000キロワット分の電力を生産できるという。それだけエネルギーの密度が高いことを意味している。
いずれの原発もすべて海沿いにあるのは、大量の冷却水を要するからという。原発を展望台からみると、ドーム形などをした原子炉とタービン棟からなるが、原子炉の建物はコンクリートむき出しだ。ペンキを塗らないのは、ひび割れなどがすぐに分かるようにしてあるためという。
また、月城原発の近くには、原発だけでなく医療機関や研究機関などから排出される放射線廃棄物を保管する「月城原子力環境管理センター」が建設中だ。約210万平方メートルの敷地に80万ドラム缶を保存する施設が完成する予定だ。なぜ保管量をドラム缶で換算するかというと、黄色いペンキで塗られたドラム缶に使用済みの作業服や靴、医療器具などを圧縮して詰め保管するためだ。
事業費用は約300億ウォン(約23億円)。現在、1期工事として10万ドラム缶を保管できる施設を建設しており、2012年上半期に完成するという。
放射線廃棄物の保管施設は花崗(かこう)岩に約1・5~2キロに渡り高さ50メートル、幅30メートルの洞窟(どうくつ)を掘り、そこに保管するというもの。韓国のほかフィンランドやスウェーデン、ドイツなどがこうした洞穴型を採用しているという。
原発の施設はなかなか見学する機会がないが、被爆の心配や、冷却水を海に流しても環境汚染にはならないのかといった懸念に対する答えがそこには用意されていた。韓国の原発の安全性について、専門家ではないので太鼓判を押すわけにはいかないが、現在、稼働中の20基の原発で大型事故はまだ起きていない。
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